この記事に訪れてくださった方はきっと突然お尻や足がびりびりとしびれたり、座っているときにじんじん来る痛みを感じたことがある方が多いのではないかと思います。
そして『坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)』を疑っていらっしゃるかもしれません。
今回は坐骨神経痛ってなに?どんな症状?その原因は?というところをまとめてみます。
そもそも坐骨神経って何なのでしょう?
坐骨神経というのは全長120mにも及ぶ人体最長の神経です。第4、第5腰椎、第1、第2仙椎から始まります。
そしてお尻や太ももの後ろを通り、ひざの少し上から側面や前面を通ってつま先から足裏まで広がっているのです。

坐骨神経は大腰筋(だいようきん)・腸骨筋(ちょうこつきん)・梨状筋(りじょうきん)などたくさんの筋肉の間を通ったり貫いたりしています。

坐骨神経痛の主な3つの原因とは?
坐骨神経痛は病名ではなく症状です。
坐骨神経痛を引き起こす原因はいくつかあるのでご紹介します。
坐骨神経痛の原因1)筋肉の圧迫による痛み
先ほどご紹介したように、坐骨神経はたくさんの筋肉の間を通ったり筋肉を突き抜けてたりしている神経です。そのため、何らかの原因で筋肉が圧迫されると、筋肉のそばや内部にある坐骨神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こすのです。
その中でも多いのが梨状筋による圧迫で、梨状筋の圧迫によって引き起こされる坐骨神経痛は『梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)』と言われます。

1-1.梨状筋症候群について
1-1-1.梨状筋が緊張することによる神経や血管の圧迫によって痛みやしびれを引き起こす
梨状筋の下には坐骨神経が通っています。またその上や梨状筋を貫くように、一部の坐骨神経や他の神経、または血管が通っています。
梨状筋の緊張により神経や血管が圧迫されると、足への運動の伝達や血流がうまく伝わらない、流れないということになってしまいます。
それによって痛みやしびれ、感覚異常などの症状を引き起こすと言われています。
1-1-2.梨状筋にあるトリガーポイントが原因
『トリガーポイント』とは筋肉にできるしこりのようなものです。(トリガー=銃などの引き金)

トリガーポイントができた筋繊維は筋肉の動き(収縮や弛緩)がうまくできない状態となり、痛み信号を発信します。これが筋膜を通じて離れた関連部位に痛みを引き起こすと言われています。
※筋膜とは筋肉や神経、血管などを包み込んでいるボディスーツのようなものです。
1-1-3.MRIでは鑑別診断がつきにくい
お尻や太ももの後ろ、ひざや足先などに痛みやしびれがあるいわゆる坐骨神経痛の症状が現れているときに病院に行くと腰や足のレントゲン、またはMRIを撮ることがあります。
このとき椎間板ヘルニアや腰脊柱管狭窄症(後述します)などの所見が見つかれば診断がつくのですが、梨状筋症候群の場合は筋肉の緊張・硬化による状態なのでMRIには映らないのです。
そのためレントゲンやMRIに映らない坐骨神経痛の症状は消去法として梨状筋症候群と診断される場合が多いのだそうです。
1-2.梨状筋症候群の原因は?
筋肉が緊張・圧迫しやすい原因については次のようなものがあげられます。
- 打撲やけがによる筋肉の緊張…打撲などで筋肉を打ってしまうと症状が出やすいと言われています。
- 筋肉の挫傷…激しい運動などで筋肉に傷がついたときにも症状が現れやすくなっています。
- 座っている時間が長い…同じ姿勢をしていると筋肉もその状態で硬直しやすいのです。
- 立っている時間が長い…座っている時間が長い場合と同様です。
- スポーツをしていた人が辞めた時…これまでスポーツで筋肉を動かしている人がスポーツをやめると筋肉が萎縮してしまいます。委縮すると坐骨神経を圧迫してしまうのです。
坐骨神経痛の原因2)腰椎椎間板ヘルニアによる痛み
私たちの背骨は椎体(ついたい)という骨によって構成されています。この椎体と椎体の間にはクッションの役割をする椎間板(ついかんばん)と呼ばれる軟骨があります。
椎間板はちょうどあんパンのような構造をしています。
外側のパンにあたる部分を線維輪(せんいりん)といい、その中に髄核(ずいかく)と言われるあんこ部分が入っています。
パンを突き破って出てきたあんこが神経にあたると痛みやしびれの原因という考えです。
詳しくは子供でもわかる『椎間板ヘルニアとは何なのか?』仕組みから症状、原因を徹底解説!でも解説しています。
椎間板ヘルニアとは線維輪を突き破って出てきた髄核が神経にあたって起こる痛みやしびれの症状なのです。
そして椎間板ヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)が坐骨神経にあたって起こるとき、坐骨神経痛の症状となるのです。

坐骨神経痛の原因⒊腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅかんきょうさくしょう)による痛み

3-1.脊柱管とは?
まず脊柱管(せきちゅうかん)について説明します。
脊柱管というのは背骨に囲まれた管状の空間(トンネルのようなイメージ)のことをいいます。
椎骨は椎体と椎弓(上の図参照)からなっていて、その間にある空間が積み重なっているのが脊柱管です。
脊柱管の中には血管や脊髄神経(馬尾神経)が入っています。そしてその神経は坐骨神経へとつながっています。
なので、脊柱管の中の神経に痛みが出ると坐骨神経痛につながってしまうという事です。
3-2.脊柱管狭窄症とは?

3-2-1.脊柱管狭窄症の原因
では、どうしたら脊柱管狭窄症になるのでしょうか?
- 脊柱管を取り囲む椎体や椎弓の形がゆがむ
- 靭帯(じんたい)の※1肥厚(ひこう)
- 椎間板が変形することで盛り上がったり出っ張ったり(膨隆)
- 脊柱管を構成する組織が変形することにより脊柱管が狭くなる
などが原因で、脊柱管の中を通っている神経や神経に伴走する血管が圧迫されて、症状として腰痛や下肢のしびれなどが起こることです。
※狭窄…間がすぼまって狭くなること
3-2-2.脊柱管狭窄症の主な症状
- 下肢のいたみ
- 下肢のしびれや異常感覚(熱を持つ…など)
- 間欠跛行(かんけつはこう)…(詳しく後述します)
- 排尿障害(頻尿・残尿・失禁など)
- 下肢脱力(だるさ)
3-2-3.間欠跛行(かんけつはこう)とは

間欠跛行はしばらく歩き続けていると足が痛くなる。しゃがみこまなくてはいけないくらい痛くなる。しばらく前かがみにしゃがんでいると痛みが和らぐが、また歩き始めるとまた痛くなる…をくりかえす症状のことです。
3-2-4.脊柱管狭窄症になりやすい人
脊柱管狭窄症は血流の悪さが原因となると言われています。ですので下記のような方々は脊柱管狭窄症の症状が出やすいのです。
- 首や腰に負担がかかる動作やスポーツを長時間続けていた人
- 前かがみや座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢を取るような環境にある人
- 年齢的に50~80代で、性別は男性が多い
3-2-5.血流を悪くする食べ物も原因の一つ

血流を悪くする食べ物は脊柱管狭窄症の原因となりうることがあります。
たとえば甘いものや冷たいもの、乳製品や油もの、アルコールなどは血流を悪くさせたり身体を冷やしたりするので、よくないようです。
坐骨神経痛の体験談
ここに私の知り合いで『坐骨神経痛』を経験したことのある方のお話です。
40代後半の保育士の女性です。
彼女は激しい足のしびれで病院を受診しました。
レントゲンとMRIを調べてもらって椎間板ヘルニアが坐骨神経に当たっている『坐骨神経痛』だということが分かったそうです。彼女の症状は右足の横から後ろにかけて斜め後ろのあたりがピリピリ痛い感じで、仕事や体操はできるけれど椅子に座った格好が痛かったといいます。
なにより自動車の運転が一番痛かったそうです。通勤のためのたった7分の運転で苦労したと言っていました。
今ジムに通ってトレーニングをして治療中だそうです。
まとめ
いかがでしたか?
一口に坐骨神経痛と言っても色々な症状があることがお分かりいただけましたか?
私自身も坐骨神経痛にこのようにいろいろな原因と症状があるのだなと改めて感じました。
こちらのまとめ記事が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。


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