突然のかかとに痛みを感じた時、まず、どの病院へ行かれますか?
多くの場合は、足の問題ですので、整形外科を受診されるかと思います。しかし、いつもとは違うかかとの痛みは、骨や筋肉だけの問題だけではないのです。痛みの原因によっては、整形外科以外の科目を受診する必要もあります。
かかとの痛みが起きた場合、冷やしたり安静にすることでほとんどの場合は良くなります。しかし、歩けないくらいのなかなか変わらない痛みは、もしかしたらかかと以外に原因があるかもしれません。そのような時は、かかる診療科を選ぶ必要があります。
今回は、そんな歩けないほどのかかとの痛みがあるときの対応についてご説明させていただきます。
歩けないほどのかかとの痛みは重大な病気なのか?
かかとの痛みは、疲労の蓄積をまず考えます。
しかし、歩けないほどの激しい痛みの場合は、疲労よりももっと重篤(じゅうとく)な怪我や神経が過敏になって痛みを感じやすいことが多いです。
疲労による痛みの場合なら、安静にして休むことで回復していきます。しかし、骨そのものにダメージがある、神経に異常がある場合には、休んでも回復しにくいものです。このように、いつもとは違う痛みの場合は、視野を広げて体を観察していく必要があります。
そこで代表的な疾患をあげさせていただきます。
かかとの痛みの原因と疾患
- 骨に問題がある場合
- 神経に問題がある場合
- 内科的な疾患が背景にある場合
- そのほかの痛み
これらの痛みは、内科的な疾患~神経の問題まで含まれております。
歩き方や足のつき方などの体の扱い方から、普段の日常生活の習慣によって引き起こされるものが多いです。その場合は、生活の仕方も含めて改善していく必要があります。
1.骨に問題がある場合
- シーバー病
- 疲労骨折
1−1.成長痛のシーバー病
身長の伸びが著しい成長期には、骨の痛みを伴いやすいです。特に膝や肘、足首などの大きい関節では、この成長痛が起こりやすいです。
太ももやふくらはぎなどの大きい筋肉の柔らかさがない場合には、かかとや膝などの筋肉がついているところに負担がかかります。この負担がかかる力が大きくなり、長期に渡ることで炎症が起こります。それがかかとで起きたのがシーバー病と呼ばれるものです。
シーバー病気が慢性化すると、アキレス腱の付着部が硬化していき膨らんで見えます。足を突くだけでも痛みを伴うまでになってしまうので、早めの対処が必要になります。
1−2.疲労骨折
一方、疲労骨折は、繰り返し起こる刺激によるものと、急激な力による外傷があります。
骨にヒビが入り足をつくことでも痛みを伴います。このような骨折の場合は、安静にしているだけでも痛みを伴いやすいものです。同じ骨の痛みと言っても、感じ方の違いがあります。疲労骨折の場合には、固定をして安静にします。骨にヒビなどがある場合は、足をつくごとに痛みを感じやすいです。
2.神経に問題がある場合
- 踵部痛(しょうぶつう)(神経絞扼 しんけいこうやく)
- 足根管症候群(そっこんかんしょうこうぐん)
2−1.神経が圧迫されるかかとの痛み
かかとの痛みは、神経を伝って感じ取ります。かかとには、神経が張り巡られています。この神経が圧迫を受けたり、痛めたりすることで痛みを感じやすくなります。ちょうど、正座をして足が痺れた時に、ほんの少しの動きに対しても感じやすくなる状態に近いです。
2−2.足首周りの神経の圧迫
この圧迫が、神経そのものに加わる場合は、神経痛です。筋肉や健が通る足根管(そっこんかん)と呼ばれる部分で、圧迫を受ける場合には、足根管症候群と呼ばれる疾患になります。その場合は、痛みだけでなく、筋肉の動きや足首の動きまでも不具合をきたします。
痛みを感じる部分や感じるきっかけの違いがあります。
3.内科的な疾患が背景にある場合
- 糖尿病
- リウマチ
3−1.糖尿病による神経痛
糖尿病は、血管がもろくなる病気です。その影響が神経に渡ると痛みに過敏になることがあります。もともと内科的な疾患をお持ちの場合には、このような神経過敏症を疑います。
3−2.免疫異常で感じるリウマチの痛み
また、リウマチのように免疫異常で強張りを感じる時も痛みとして認識されやすいです。これらの問題は、血液検査などすることで疾患名が明確になります。
リウマチを疑う場合には、下記のチェック項目の確認をして見ましょう。かかとの痛み以外にも複数該当する場合には、リウマチ科や内科などの受診をお勧めいたします。
- パジャマのボタンが外しにくい
- 家の鍵が開けにくい
- 歯ブラシが持ちにくい
- コーヒーのふたが開けにくい
- RVのリモコンが押しにくい
- 朝食を作るとき、動作に違和感を感じる
- ドアノブが回しにくい
- 靴ひもやリボンが結びにくい
- ハサミが使いづらい
- ホチキスが使いずらい
- おはしが上手に使えない
どんな医療機関に診てもらうのがいいのか?
- 整形外科
- 内科
- 心療内科
- ペインクリニック
- 脳神経外科
かかとが痛む時には、どんな風にすると痛みが増すのかで受診する科目が異なります。
骨の異常を疑う場合には、整形外科で画像で明確にできます。
また、内科的な疾患を疑う場合には、かかとの痛み以外にも、手にしびれやこわばりがあるか、内臓の問題も疑われるのかを確認します。
血液検査や画像でもはっきりした所見が得られない場合には、体の不調を痛みとして認識していることも考えられます。そのような場合には、心療内科を受診して、痛みを感じる理由を明確にしていきます。
骨の異常を疑う場合 | 整形外科 |
内科的な疾患を疑う場合 | 内科 |
血液検査や画像でもはっきりした初見が得られない | 心療内科 |
その他、考えられること
痛みと痺れは似ている感覚です。痛みと感じていても、実はその感覚は痺れのこともあります。その痛みと痺れについてご説明させていただきます。
痺れを感じやすい疾患
- 関節の問題
- 脳の問題
- 内分泌系の問題
- 神経の問題
これらの問題は痛みと痺れを混同しやすい疾患です。その問題がどこに原因があるのかが理解できれば適切な対処ができます。それぞれの問題には特徴があり、痛みや痺れを感じている部分の問題と区別する必要があります。もし、初めにお伝えした、かかと周囲に原因がなければ、これらの疾患も疑って見ましょう。
今回の記事のまとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
かかとの痛みは疲労の蓄積以外にも起こります。これらの痛みを明確にするには3つの情報を整理します。
- どんな時に痛むのか
- どうすると痛みが増すのか
- かかとの痛み以外の体の変化はないか
を観察します。そうすることで、何が痛みを引き起こしたのかが見えてきます。
まずは、専門家にその状況を伝えて、適切な判断を仰いでみましょう。原因がわかることで、不安も払拭されます。この記事が改善の手立てになれば幸いです。


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