ここ数年、クラミジアの感染者が増加しています。それに伴いクラミジアが原因の不妊症も増加しています。クラミジアと不妊症、一見何の関係もないようですが、実は不妊症の原因がクラミジアだったというケースは少なくないのです。
今回は、なぜクラミジアが不妊症の原因になるのか、検査・治療方法や予防法などを解説いたします。
クラミジアとは?
グラフ引用:クラミジア症状・検査完全ガイド様
クラミジアは、日本でもっとも感染者の多い性感染症です。10代後半~20代の感染者が多く、20歳前後の女性の約3割が感染しているとも言われています。
クラミジアは、コンドーム無しの性交渉により男性なら尿道、女性なら子宮頸管に「クラミジア・トラコマティス」という細菌が感染し、様々な器官で炎症を起こします。クラミジアは、性器だけではなく口腔内から喉に感染することもあります。そのため、キスやオーラルセックスなどでも感染することがあります。
感染するとどんな症状がでるの?
クラミジアの潜伏期間は5~21日と比較的長く、また自覚症状がほとんどないため、知らないうちに感染していたり、感染させている場合もあります。
女性の場合

- 軽い生理痛のような痛み(下腹部痛)
- 不正出血
- おりものが増える
- おりものの臭いが強くなる
などがありますが、感染している7~8割の女性が自覚症状がないと言われています。そのため、放置し卵管炎を起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因になっているのです。
男性の場合

- 排尿痛
- 尿道のかゆみ
- 尿道から膿が出る
- 精巣上体の腫れ
- 軽い発熱
などの症状が出ると言われていますが、男性も同じく、約半数の人は自覚症状が出ないと言われています。放置しておくと、前立腺炎などになる場合もあります。
クラミジアと不妊症の関係

女性の不妊症の原因で一番多いのが卵管に問題がある場合です。そして、卵管に問題がある人の6~8割がクラミジアに感染しているという報告もあるほどです。
まず、クラミジアに感染すると子宮頸管で炎症が起こりますが、ほとんどの場合、自覚症状は出ません。そのため、感染に気付かず放置し、子宮頚管→子宮内→卵管と感染が進行するのです。
卵管で炎症を起こすと(卵管炎)、『癒着』と言って他の組織や臓器がくっついてしまい、卵管内が狭くなったり、塞がってしまいます。そのため、卵子が通りにくくなり精子と出会う確率も下がります。また、受精できたとしても受精卵をうまく取り込めず子宮までたどり着けない『ピックアップ障害』という不妊症の原因になるのです。
1度の感染で不妊症になるということは少ないですが、クラミジアは感染しても気づきにくい性感染症のため、感染を繰り返してしまい卵管のダメージが大きくなり、不妊症の確率が高くなるのです。感染を繰り返すたびに不妊症のリスクが20%ずつ高くなると考えられています。
また、不妊症とは違いますが、もしクラミジア感染をしていて妊娠できた場合でも流産や子宮外妊娠のリスクが高まります。それは、卵管が癒着や狭くなっているため、受精卵を子宮まで届ける機能が低下し、卵管に着床してしまう場合があるためです。さらに、早産のリスクも高く、赤ちゃんがクラミジア感染した産道を通るため結膜炎や肺炎に罹ってしまうこともあります。
男性も不妊症になるの?
非常に稀ですが男性もクラミジア感染が原因で不妊症になる場合があります。精巣で作った精子を尿道に運ぶ「輸精管(ゆせいかん)」という場所が塞がってしまい無精子症になることがあります。
しかし、クラミジア感染による不妊症は、女性の方が圧倒的にダメージが大きいのです。
クラミジア検査と治療法
検査は2種類あります。
現在、クラミジアに感染しているか調べる検査(抗原検査)
女性:膣の分泌物
細長い綿棒を挿入して、子宮頸管の細胞をとります。痛みはほとんど感じず、わずかな時間で終わります。結果も当日分かります。
ただし、クラミジアが既に上方感染し卵管や腹膜だけにいる場合は見つけられません。
男性:尿
朝一番(もしくは前回の排尿から時間をおいて)の尿で検査をします。結果は、1日程度かかります。
同じく上方感染している場合は、見つけられない可能性があります。
過去に(1度でも)感染したことがあるか調べる検査(抗体検査)
男性・女性:血液検査
抗体は、病原菌がいないと作られません。「抗体がある=病原菌がある」という判断になります。抗原検査で見つけられなかった場合に、血液検査で抗体があるか確認します。
そのため、過去に感染していた場合もわかる検査で、不妊検査には必ず含まれている検査です。
結果は、3日~1週間程度かかります。
治療法

治療は、1週間程度抗生物質を服用します。そして、3~4週間後に再び検査をして「陰性」であれば治療は終了です。
クラミジアは、菌感染のため、少しでも残っていると再び繁殖してしまいます。そのため、服用して終わりではなくその後再検査をして「陰性」となって、完治になります。
そしてもし、感染していることが分かった時は、パートナーにも検査・治療を受けてもらいましょう。これは『ピンポン感染』と言って、どちらかの治療が完治していないのに性交渉をしてピンポン玉のように感染を繰り返してしまうからです。
クラミジアに感染しないための予防法
クラミジアは不妊症の原因のひとつになること、更に感染を繰り返すと不妊症のリスクが高くなることが分かりました。そのため、クラミジアに感染しないように予防することが大切です。
不特定多数の性交渉はしない
クラミジアに限った事ではありません。性感染症は、性交渉の相手が多いほど感染率も高まります。その場の雰囲気で良く知らない相手との性交渉は、避けましょう。
コンドームを着用する

クラミジアなどの性感染症の予防には、コンドームが有効です。相手がクラミジアに感染している場合、コンドーム無しの性交渉は高い確率で感染します。妊娠を望まない性交渉は、必ずコンドームを着用しましょう。
ピルを飲んでいる時も同様です。ピルは、妊娠しないようにする薬でクラミジアの感染を予防することはできません。
また、コンドームは性交渉の最初から最後まで正しく着用することが重要です。
気になる時は自覚症状がなくても検査を受けましょう
クラミジアなど性感染症は、自覚症状が出ない場合もあります。もし、少しでも感染した心当たりがあったり、違和感がある時は受診しましょう。
また、パートナーが変わった時なども検査をすると安全です。
治療後も再発しないようにしましょう
先ほども言ったように『ピンポン感染』しないようにしましょう。感染のたびに不妊症リスクは高まります。
まとめ
私も不妊症検査では、抗原・抗体の両方の検査をしました。それだけクラミジアは、不妊症の原因になる厄介な性感染症です。
感染しても自覚症状がなく、知らないうちに不妊症の原因になっているかもしれません。また感染を繰り返して不妊症のリスクを高めているかもしれません。
まずは、感染予防をしましょう。そして、もし気になる場合は、パートナーと一緒に検査を受けましょう。不妊症の原因にならないように、早期発見・治療が不可欠です。

ayaari

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