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ヘルニアで手術すべきなのは、どんなときか?
「ヘルニアがいい加減辛い‥。もう、これ手術したほうがいいんじゃないかな」とお悩みのあなたへ。
少し昔では、ヘルニアにかかったら手術というのが一般的でしたが、現在において手術を行うのはヘルニア患者の1割以下。9割がたが、コルセットや投薬、温熱療法などの『保存治療』により改善ができると言われているんです。保存療法で痛み・炎症を和らげているうちにヘルニアが自然と消滅していきます。
しかし保存治療を3ヶ月以上続けても改善しない。強い痛みが一向に治まらず生活に支障が出ている。便秘や排尿障害などの“馬尾症状”がある。など重傷の場合はやはり手術が必要。または仕事への支障を早くに解消したい!という場合など、即効性を求めるさいも手術が有効になります。
この記事では、椎間板ヘルニアの手術にはどんなものがあるのか?それぞれの費用、健康保険は適用か?などについて詳しく解説します。
まずヘルニアの手術として代表的なものは、以下の2種類です。
1.LOVE法(ラブ法)
特徴
LOVE法は、現在ヘルニアの手術としてはもっとも一般的なものです。特別な機器も使わずおこなうため、どこの医療機関でもほぼ同水準の治療が受けられます。
手法
全身麻酔のもと、背中の皮膚を4cmほど切開。神経を圧迫してヘルニア症状の原因となっている椎間板を摘出します。出血はほとんどありません。医師が肉眼で患部を見ながらおこなうので、安全・確実度が高い手術法です。

費用
健康保険が適用されます。手術費総額が約25万円。うち3割の自己負担で7万円。入院・検査費を含めて計10万円ほどの負担となります。
手術後
術後2〜3日で歩行ができるようになりますが傷口の痛みは出てしまうため、鎮痛剤を使うことが多いです。リハビリをしながらの入院。2週間前後で退院となります
主流になりつつある『マイクロLOVE法』
近年では、従来のLOVE法より身体への負担が少ない、マイクロLOVE法という手術が普及してきています。
顕微鏡を切開部位に取り付け、視野を拡大しておこないます。そのため小さい切開幅で手術ができ、入院期間も10日ほどと従来のLOVE法よりも短くて済むものです。やはりこちらも保険が適用され、また従来のLOVE法で用いる技術を使っておこなえるため、現在ではこの手術法を採用する医師が増えてきています。
2.MED法(内視鏡手術)
特徴
LOVE法に次いで1995年より普及。切開部位はLOVE法・マイクロLOVE法より更に小さく2cm程度で済むのですが、専用の機器を使い、また高度な技術が必要なため、受けられる医療機関が限られます。
手法
全身麻酔ものと、背中を切開して飛び出した椎間板を摘出するのはLOVE法と同じですが、違いは肉眼ではなく内視鏡で見ながら手術をおこなうことです。そのぶん傷口が小さくなりますから出血もほとんどなく、身体への負担は少ない手法です。
費用
手術だけの総費用が約30万円。保険適用のため3割負担で約9万円。
入院期間は7〜10日ほどで、手術・入院費の総自己負担額は約25万円です。またこちらも高額医療費制度の利用により、負担額を減らせることがあります。
手術後
手術翌日から起き上がって歩行ができ、術後の痛みも少ないです。4〜7日ほどで退院できます。
LOVE法とMED法を比較
健康保険が使える、代表的な手術法はこの2種類です。違いを一言で言うなら、どれだけ身体にメスを入れるか。ということです。それぞれどんなメリット・デメリットがあるでしょうか。
LOVE法のメリット&デメリット
○メリット
日本全国、多くの医療期間で受けることができ、治療の実績が豊富です。もっとも確実性の高い手術で、90〜95%の改善率と言われています。
×デメリット
切開幅が大きくなるため、その分どうしても皮膚や筋肉へのダメージがそれだけ大きくなります。またLOVE法に限ったことではないですが、手術をおこなったことによる神経麻痺や髄膜炎などの合併症のリスクは決してゼロではありません。
MED法のメリット&デメリット
○メリット
わずかな切開幅でおこなえる手術ですから、身体への負担は少なく済み、退院・術後の回復も早いです。
×デメリット
高度な技術が必要なため、受けられる医療機関が限られてきます。医師が限られた視野のなかで手術をおこなうため、死角にひそんでいるヘルニア部分を取り残す。神経を損傷させてしまうリスクがLOVE法と比較して高くなると言われています。
2つの手術法まとめ。どちらも完璧ではない。リスクはある
LOVE法、MED法ともに改善率は高い手術法ですが決して100%というわけではありません。どちらも5〜10%の確率で再発するケースもあると言われています。また身体に傷をつけるわけですからやはり合併症のリスクも避けられません。主治医とよく話し合い、あなたが充分に納得した上でおこなうことが大切です。
高額医療費制度とは?
治療費についてもう少し詳しく。この2つの手術法は保険適用とは言え入院費などを合わせると、ある程度まとまった金額の負担になります。そこで高額医療費制度というものを使い、その負担額を軽くすることができるのです。
いったいどんな制度なのか?
1ヶ月(その月の1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担分から、一定の限度額を超えた分が払い戻されるという制度なのです。この“一定の限度額”とは年齢(70歳未満/以上)と所得で区分分けされ、決まっています。
一例として70歳未満、年収が500万円のかたで自己負担額の上限が約9万円。それ以上を超えた分が健康保険から払いもどされます。
高額医療費制度を使うには?
払い戻しまでは3ヶ月かかり、いったんは全額を支払う必要があります。しかし『限度額認定証』というものを加入の健康保険から発行してもらい、入院のさい病院に提出することで初めから限度額までの支払いで済ませることもできるのです。
ありがたい制度ですが注意点もあります!
- 本人の希望で個室に入院したさいの差額ベッド代や先進医療は対象外。
- 「1ヶ月にかかった医療費」の1ヶ月とは、あくまでその月の1日から月末までのことです。月をまたぐと医療費の計算はリセットされる。
切らない2種類のヘルニア手術
さて、つぎは代表的なLOVE法・MED法に加え“切らないヘルニア手術”を2種類ご紹介します。
どちらもとうぜん身体への負担は軽く、状態によっては日帰りも可能なのが大きなメリットです。その反面デメリットとして、ヘルニアのタイプによっては適応外。取り入れている医療機関が少ない。再発率が比較的高い。などがあります。
1.PLDD法(レーザー治療) ※保険適用外
手法
局所麻酔のもとおこないます。背中に針を刺して、そこから椎間板に向けレーザーを放出させます。すると椎間板が萎縮して飛び出したヘルニア部分が引っ込むのです。
LOVE法、MED法がともにヘルニアを切り取る手術法なのに対して、こちらはヘルニアを“切らずに引っ込める”やりかたです。
費用
ヘルニア1カ所に対して約40万円。保険がきかないため、全額が自己負担になります。
2.PN法
手法
このPN法もPLDD法と同じく、局所麻酔をかけておこなう手術です。こちらは5mmほどの管を背中ヘルニア部分に差し込み、そこに鉗子(かんし。手術用の掴み棒のようなもの)を通してヘルニアを取り除きます。切開幅はわずか1cm程度です。
費用
このPN法はレーザー治療のPLDD法と違い、健康保険が適用です。費用総額が20万円弱、3割負担で約6万円となります。
ちなみに:ヘルニア検査の費用について
これまで紹介してきたヘルニアの手術法ですが、もちろん自己判断でどの手術法を選ぶのか決めるわけではありません。問診に加え検査をおこない詳しい状態を確認したうえで、主治医との相談のもと決定します。
そしてヘルニアの検査には、大きな磁石の機械のなかに入り、磁気の力を使って体内を撮影する『MRI検査』というものをおこないます。
このMRI検査には健康保険が適用され、3割負担の場合、自己負担額は6〜8,000円ほどになります(初診料やほかの細かい検査などで変動します)
まとめ
いかがだったでしょうか?いろいろとヘルニアの手術法を紹介しましたが、もちろん自分でどの方法を選ぶか判断はできません。
検査結果をもとに医師との相談のもと決めていくものですが、この記事で得た情報を参考に少しでもあなたの不安が軽くなり、よく納得した上でベストな治療法を選択する手助けになれば幸いです。

たの

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