痛い?高い?入院が必要?150種類もある外反母趾手術の方法・経過・手術費用

「手術は骨が出っ張っているところを削るの?」
「知り合いが手術をして悪くなったと言っていた」
「良くなっても結局再発するみたい」
「ものすごく痛いらしいよ」
「仕事や家事を長く休むことになるってホント?」

皆さん、外反母趾の手術については漠然とした不安を抱いているようです。
僕もクライアントさんには

「手術はあくまでも最終手段ですからね」

なんて偉そうに言ったりしてますが、手術について、その具体的な方法や詳しい内容まではよく知らないというのが実情でした。

そこで、今回は外反母趾の手術についてあなたに代わって、できるだけ客観的に調べてみました。

どのくらいになったら手術が必要になるの?

まず、どの程度まで外反母趾が進行すると手術しなければいけないのでしょう?

一般に外反母趾の重傷度は、第1中足骨(母趾の甲の部分の骨)と指の骨がなす角(HV角)で分類されます。

HV角とは以下の部分の事を言います↓
HV角

外反母趾診療ガイドライン2014』によると、HV角が

~20° 正常
20°~30° 軽度
30°~40° 中等度
40°~ 重度

というのが一般的です。

「そうか、40°以上なら手術が必要なんだ」
と思うかも知れませんが、そうとも限りません。

足の甲の骨や母趾の捻れなども重要

HV角だけではなく第1、第2中足骨がなす角(M1-M2角)や、母趾の捻れも考慮する必要があります。

M1-M2角が広がった足を「開張足」と言いますが、これが20°を超えると保存的な療法で形を戻すのは難しくなります。

母趾のねじれが強くなると指に力が均等にかからなくなり、タコやウオノメ、巻き爪の原因になったりします。
場合によっては歩くのも困難になるくらい痛みを生ずるケースもあります。

さらに母趾の変形によって他の指の関節に影響が及ぶことがあります。
場合によっては母趾以外の関節が完全に脱臼するケースもあります。

当院のクライアントさんにも、外反母趾のために第2趾が脱臼してしまっている方が何人かみえていました。第3趾まで脱臼していた方もおひとりいました。

このように、単純に指の外反の度合いだけでなく、甲の広がりや捻れの強さも合わせて判断します

一番大事なのは日常動作にどのくらい影響があるか

しかしながら、手術が必要かどうかは変形の程度より、外反母趾による痛みやバランスの崩れによって、どの程度日常生活に支障をきたしているかということの方が重視されます。

先に述べた方たちは変形の程度は明らかに重度の部類でした。
でも普通の生活にはほぼ差し支えなく、スポーツさえできる方もいました。
ただやりすぎると痛くなるからと、当院を訪れました。

外反母趾(脱臼例)

この状態でマラソン完走!

外反母趾(脱臼例2)

日常生活に支障なし

 

手術はしたくないというご希望があり、形は変わらなくてもいいという条件で痛みを取るための施術を受けて頂きました。
「整形外科専門医になるための診療スタンダード」には、手術が適応となる条件について、次の様に記載されています

1)MTP関節周囲の疼痛のためADL障害が著しく、保存療法が無効な場合
2)外反母趾のため他の趾の変形や中足痛を生じている場合
3)変形が強く靴の選択に著しく困る場合

ただし、靴を脱いでいる時間が長く、かつ保存療法で疼痛が改善する場合あえて手術を行う必要はない。

MTP関節  中足骨と指の骨の間の関節
ADL    activities of daily livingの略 日常生活動作
保存療法  足底板、専用靴の着用、理学療法、テーピング、徒手矯正など

痛みのために普通に歩くことができなくなったり、足の変形が体全体のバランスを悪くしてしまい、他の箇所に痛みが出たりしているのでなければ、まずは保存的な方法を試してみる。

試してみて、効果が現れないようであれば手術も検討する。そんな感じでしょうか。

手術ってどんなことをするの?

では、実際の手術方法はどうなのでしょう。

150種類以上の術式がある

外反母趾の手術法は現在150種類以上報告があり、新しい手術法が次々と開発されています。裏を返せばすべての症状にマッチする術式がないとも言えます。

大きく分けて

骨切り術 骨を一旦切り離し、位置をずらして固定癒合させる手術
軟部組織

離解術

筋肉や腱、靭帯などの軟部組織を一度剥がして位置をずらしたり、関節包を短く縫合したりする手術
関節固定術

関節形成術

リウマチなどの関節変性をともなう疾患がある場合に、関節 を動かないよう固定したり、関節全部を切除したりする手術

 

があり、いくつか組み合わせて行われることがほとんどです。
また、骨切り術もどこを切り離すかによって遠位、近位、骨幹部に分類され、さらにそれぞれにいくつもの方法やその改良法が存在します。

骨切り術

遠位骨切り術は比較的軽度~中等度のものに適応されることが多く、近位骨切り術は中等度~重度のもので選択されることが多いようです

ここでは代表的な2つの術式を紹介します

遠位骨切り術 《DLMO法》

日帰りもできる手術として増えてきている手術法です。主に軽度~中等度の外反母趾に適用されます。(実際に日帰りすることはまれで1週間程度の入院が普通です)

第1中足骨をつま先に近いところ(遠位)で切り離し外側にずらした後、キルシュナー鋼線(骨折した骨を固定するために使うステンレス鋼でできたピン)を入れて固定する方法。
切開する範囲が小さく体の負担が比較的少ない手術法。

~4週 専用の靴(つま先側に力が掛からないようになった靴)を装用
4~5週 足裏を着いての歩行をはじめる
5~6週 鋼線を抜き取る
2ヶ月後 足の前側に体重を掛けられるようになる
3ヶ月後 つま先に全荷重できるように

 

その後も経過をみるため通院が必要になるようです。

近位骨切り術 《Mann変法》

中等度~重度までの外反母趾に使われることが多い術式で、骨切り術と軟部組織解離術を合わせて行う方法です。

第1中足骨を足首寄り(近位)で切り離し、ずらしてプレートなどで固定します。指先を外側に引っぱる内転筋を切離し、位置を変えて中足骨頭部に縫いつけます。さらに伸張されて緩んでしまった内側の関節包を短く縫い合わせます。

入院期間は2~3週間

 

2~3週 ギプスシーネ固定。その間は松葉杖や車いすで過ごす
3週~ 専用靴と足底板を装用し部分荷重歩行を開始
8週~ 仮骨形成を確認したら、足底挿板を除去。全荷重歩行を許可する
3ヶ月後 つま先に体重を掛ける歩行を始める

手術の細部や術後の経過などは概ねこのようになります。

いずれにしても、順調に経過しても最低2ヶ月は荷重歩行ができないため、筋力を回復させるためのリハビリが必要になり、運動ができるようになるまでには、かなりの期間を要します。

手術そのものにかかる時間は1~2時間程度ですが、準備(麻酔)などを含めると4~5時間掛かるようです。

体験談などをみると手術直後の数日はかなり痛いようです(地獄ですと書いてあったブログも見ました)。当然歩けないので、身の回りの世話をしてくれる人がいない場合は、入院が必要で1~2週間程度は覚悟しておいた方が良いでしょう。

また両足が外反母趾であっても、片足ずつした方が歩行が早くから行えるため、筋力低下が少なくリハビリ期間も短くなるようで、どうしても休みが取れないなど特別の理由がない限り一緒にしない方が良いようです

手術にかかる費用はどのくらい?

手術や検査、入院費には健康保険が適用されますが、術後の専用靴や差額ベッド代は別途掛かります

初診 術前検査 6,900 円
手術前後に 外来5回 レントゲン写真5回 として 950円 x 5 =4,750 円
局所麻酔で 片足手術 大部屋入院2週間 として 手術料 入院費 合計 120,000 円
術後4ヵ月で 外来にて内固定具(スクリュー、ワイヤ)抜去 10,500 円

整形靴を作れば、靴は自費で1-4万円
中敷き(足底挿板) 10,846円 (36,153円を患者様が立て替え払いで後に支払基金から7割返却)

合計 片足で約15万円です。
入院期間や術後の経過によって個人差があります。

(3割負担の方の支払の一例:足と靴の医学 / 整形外科医師 : 町田英一より引用)

 

健康保険を使用して片足15万円くらい、両足同時にする場合は単純に倍になるわけではなく、プラス10万円程度になると考えるといいでしょう。

まとめ

進行してしまった足の変形を元に戻すには手術療法しかありません。

手術が必要かどうかは変形の度合いよりも、日常生活にどのくらい支障が出ているかと、クライアントさんの希望を考慮して決定するようです。

ただ、どのお医者様も言っていますが、あくまでも手術は最終手段であり、単に形が悪いからといった理由で安易に選択すべきではありません

入院が必要であったり、正常に歩行できるまでに最低でも2ヶ月はかかるため、その間の仕事や日常生活に支障を来すこと、以前に比べると減ったようですが、内反母趾になったり筋力が衰えて指が動かなくなったりする後遺症が残る事もあります。
こうしたことを考慮した上で慎重に決めるべきだと思います。

また、手術後も筋力回復のため、再発を防止するための運動療法やインソールなどの装具を使うこと、靴選びに気をつけることなど十分注意する必要があることを理解しましょう。

■参考サイト

■参考書籍

  • 外反母趾診療ガイドライン 2014 日本整形外科学会 日本足の外科学会(監修) 南江堂
  • 整形外科専門医になるための診療スタンダード3 下肢 戸山芳昭 大谷俊郎(監修) 羊土社
The following two tabs change content below.
岩田 義昭
埼玉で整骨院やってます。腰痛・坐骨神経痛の整体をメインに外反母趾・巻き爪矯正にも力を入れてます。足のトラブルから腰の痛みまでトータルでやわらげてあげられるオールマイティな治療家を目指してます。
ホームページはこちら⇒『さいたま外反母趾矯正センター』

掲載記事は個人的な考え見解です。また事例や体験談も個人の感想によるものでいずれも万人への効果、変化を保証するものでないことご理解ください。

取り扱い時は医師または専門医にご相談するなどして各自でご判断ください